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タイトル: ちょっと不安なこと
日付: 2002年 06月 23日 01:06
私は今日時点で28歳である。夏生まれで来月、歳を取るわけで。
とはいえ別に歳を取ることそのものは、それほどなにか考えがあるわけではない。
問題なのは、この年齢になった自分の置かれた状況である。
ふたつ大きな問題があるが、ひとつはありがちで「いい人がいない」ということなのでおいておく(爆)。今回はもうひとつの「知識についての不安」を開陳してみたい。
これは個人的な問題とも、世代の差の問題とも取れるとは思う。
過去に何にモチベーションを持ち、何を覚えてきたのか、ということである。それも学習ということではなく、自分の興味や好奇心による自主的な、利益実益とは無縁かもしれない知識や技術の習得という面で、自分に対して不安なのだ。
前もって断っておくが、勤め人としての自分の能力が給料をもらうにたり得ないなどとはカケラも思っていない。社会人としての経験、前職のSEとしての実績、個人で取得したインターネットの技術・文化両面での話題などには自信もある。それが無ければ転職なんてしないわけで。
話を戻そう。私が不安なのは、幼いころから思春期にかけて身に付けた知識についてだ。考え方としては技術に対しても同じことが言えると思うので、一読後に「知識」という語を「技術」に置き換えて読んでもらってもいいかもしれない。
幼いころの男の子の知識といえば、地名、鉄道の駅名、車の車種とメーカー、戦国時代の武将、戦闘機のスペックなどがあったとおもう。それらは多くは実在のもの、あるいは実際の歴史であったりする。「二十歳過ぎたらただの人」が事実な場合も多々あるにしてもだ。
だが私が自分を振り返ったとき、一番エネルギーをつぎ込んでいたのは実在の無いものばかりなのである。それはジャンルで言えば「物語」や「アニメーション」といったものが大勢を占める。
これらは「作り手の想い」のようなものは伝わってくる反面、子ども時分には教育・育児と同様で、ある程度決まった「面白がらせる技術」というものがあるため、情報としての幅は非常に狭い。ニュース映像などで、撮影しているカメラの周囲には世界があっても、写されている範囲はカメラが向けられた狭い範囲だけなのと同様だ。
歴史なども「勝てば官軍」で記された歴史が多いであろうから、突き詰めればフィクションと五十歩百歩といえるかもしれない。しかし歴史というのは私たちの実際にあった「過去」であり、その実在は親から生まれてくる人間、つまり私たち自身が証明している。その説得力というか実在感というのは、フィクションの及ぶところではない。
「人殺しや戦は不条理なのだ。」ということを、私は「機動戦士ガンダム」というアニメから感じた。だが、演義ではない三国志や日本の戦国の歴史からそれらを学んだという人の隣りに並んで「戦の不条理」をまた別の誰かに説くとしたら、説得力という面で私に勝ち目は無い。意外とルーツの違いによって差別されるのだ。
これは良いことがらでも同様で、「三本の矢」の話は歴史に則した出来事と、小説などで展開などから「兄弟の協力が大事」と感じたのを比較されたら、小説は歴史を模倣しただけ、などと取られるのがオチであろう。
当人にとってファースト・インプレッションであっても、最も説得力のあると一般に考えられているところへ帰結してしまうし、実際に創られているものは作り手が受けた印象や経験によるため、どうあっても「間接的」なのだ。そして歴史が説得力を持つのは「自分たちが証明している実在の過去」という「直接的」だと思わせる要素があるからである。
このような点で「説得力に欠ける知識」ばかりを私は幼少のころこの頭に詰めこんで仕舞った気がするのだ。それはシャーロック・ホームズの推理の理屈やアルセーヌ・ルパンの「自らの正体も忘れそうだ。」といったストイックなセリフに始まり、SFや映画に登場するガジェットやストーリーのどんでん返し、メカの形式番号や系統図といったものがそれなのである。
もちろん、それが役立って働いている場面で役に立っていれば、社会人として問題ではない。また、時代としてそういう「架空」なもの「ヴァーチャル」なものが生活の中で大きな部分を占めるという、「恵まれた時代」に生きているからこそかもしれない。
だが地面に足をつけて生きていくという面で、30歳を目前としてなにかが欠けているような気がしないでもないのだ。
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