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投稿日付: 2002年 01月 15日 01:58
タイトル: 同人誌と著作権の現場

著作権は国内で「著作権法」で規定されるほか、国際的にも著作権を保護する条約があります。
とはいえ、ここでは同人誌とのかかわりに限定して書きます。
著作権そのものについて詳しく知りたい人は、ここなどよいかと。
社団法人 著作権情報センター

著作権は事実上「守ってもらえる」権利ではなく、権利者が率先して「守る」権利であることです。
つまり著作権を違反した状態や作品だからといってそれだけで警察がくるのではなく、著作権違反であることを著作権者が告発しないと、罪かどうかの判断もされない権利だということです。
これは日本人の著作権に対する意識が非常に希薄であることに拍車をかけるのですけど、それはまた別の話題。

同人誌については表現形態ごとにすこし異なるので、形態ごとに分けていきます。
また、世界最大の同人誌即売会であるコミックマーケットについて独自の状況というものもあるので、それぞれ付記します。

◆抵触しないもの

コミック、文章、ソフトウェアなどの形態の違いに関わらず、独自の物語、独自の設定、独自の絵などによるオリジナル作品は、当然ですが著作権には抵触しません。
ただし、どこまでが「オリジナル」なのか、という問題を持つ作品もあります。
また文章の場合は名詞などが問題になりますが、神話から持ってきた名詞を使っている有名な作品がある場合(たとえばギリシャ神話の名前)などでも、同人作品で神話から取ることはなにも問題ありません。
(「機動戦士ガンダム」を例とすると「ソロモン」「ア・バオア・クー」「マゼラン」「サラミス」「コロンブス」などはガンダム独自の名詞ではないので抵触しない。)

◆図版(コミック/イラスト)

厳密に言うと、元にした作品があるものは著作権に反すると訴えられれば負けます。
「オリジナル」作品に対して、言ってみればすべて「版権もの」というわけです。
これは登場人物、その名前から、その独自の世界観なども含めてです。

ですが実際の同人誌においては、コピー、トレースなどはせず同人誌製作側が独自に描いた絵で、かつ版権元が損害をこうむることが無ければ人気のバロメーターとしてとくに問題になることはありません。黙認していると言ってもよいでしょう。
これは物語の体裁をもっているものだけではなく、メカのオリジナル設定やガイドブックなどの形式の同人誌でも同様です。

ここ数年にはガイナックスのように、元作品として使用する際のガイドラインを公開しているところも増えてきました。

これらは主に図版に関してのことが多く、インターネットのウェブサイトなどに掲示するグラフィックに関しての言及がされていることも多いようです。
このガイドラインを守って作られた作品をガイドラインの公開側は「二次作品」と呼ぶようです。

◆文章

図版よりも厳しい部分があります。
特に元作品が独自の名詞を作り出したり、ありふれたものでもその作品のものとして知名度が高くなってしまった場合に、それらを文章中心あるいは文章だけで構成された物語などで使用すると、かなり抵触の危険をおかしていることになります。
文字の書体が違っても図版のような黙認はできないわけです。

解説/論評などはまったく別です。
これらは名詞を示してもそれ自体をそのまま使用するわけではなく、それについて別の立場から発言しようとするものであるためです。
この発言の部分は、同人誌作成者の著作権所有部分ということになります。
不正な文章の引用などを除けば、あまり法的にも深刻なことにはなりにくいと考えられます。
ただし、その文章が名誉毀損などに問われるほど乱暴だったりお粗末であれば、著作権とは違う面で著作権者が発行物を告発することはありえます。

私が主に関わるコミックマーケットで言うところの「ゲーム電源不要」ジャンルでは、ほとんどが文章ものですが、これもまた特殊です。
ゲーム電源不要に区分けされる国内のゲームや出版の版権元は、規模からしても著作権に関する摘発するほどのことはできず、またコミック/イラストよりもさらにユーザーが盛り上がらないと元となったゲーム自体が売れない(あるいは売れていない)という事情もあり、ほとんど問題になりません。
逆に「シェアワールド」という言葉をもちい、積極的にユーザーの作品製作を推奨する版権元もあります。

◆図版/文章両方に言えること

海外の小説、ゲームなどの場合は著作権者が摘発するところか、同人誌としてなにかが製作されていること自体を知らないところの方が多いと考えられます。
ただし、インターネットのウェブサイトなどでこのような同人誌を扱うなどしていて版元に明らかになった場合には、かなりの確立で警告の文章がとどくでしょう。
個人的にその同人誌をジョークとして楽しんでくれる外国人がいたとしても、世界では日本国内の甘い著作権意識は通用しないのです。

◆その他

自分のペットを題材にしたものや自らの体験の開陳、公的機関に関するものや乗り物関連などはほとんど問題にはならないでしょう。

写真は、独自に撮影したものであれば問題ありません。
ただし肖像権については、アイドルやコミックマーケットでも多数いるコスプレーヤーなどに関してトラブルが多いので注意が必要です。
なおコミックマーケットでの写真撮影には会場でそのための許可をとった上で、撮影の際に本人の同意を必要とする、と決められています。


中規模までの同人誌即売会ではこれ以外の形態はあまり扱われないのですが、コミックマーケットではこのほかコンピュータ・ソフトウエア、CGやCGアニメーション、文房具、アクセサリなど、多様な出展物があります。
画像や文房具のワンポイント・イラストなどについては図版に準じますが、そのほかの形態のものについてはそれぞれのジャンルで詳細な部分で異なるので、今回は置いておきます。

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