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タイトル: 継続の要素 1
初出日付: 2001年 07月 14日 17:21
0.お詫び
この文章は、「継続の要素」として一回で掲載するつもりだったのですけど、短くすると結論だけで面白くなくなってしまうと思うので、複数回に分けます。
目次は、1.継続の意味から/2.「個性」という要素/3.舞台の継承/4.奇想天外 の4つで、今回は1.と2.をお送りします。
1.継続の意味から
延々と続くお話があります。もちろんいつかは終わるのですが。
出版物というレベルでは、背後にビジネスがあるので「打ち切り」なんてこともありますが、本当に「継続の要素」を持っている作品はビジネス的に同であろうと続くものです。 今回はその「継続の要素」について書きます。
本題の前に、ここでの「継続」という意味についてまず決めておきましょう。
この「継続」とは、物語の中の時間が長期にわたって整合性を持って進みつづけているということを言います。これは一つの物語が始まって終了するということのほかに、共通の世界設定をもつ複数の物語が、相互矛盾しない「シリーズ」として成り立つということを含みます。(*1
童話や昔話のように、同一のお話が長い年月経っても残っていく、ということではありません。(*2
同時に作中での時間要素が無視されているものは除きます。これらが「継続する」ことに関しては童話・伝説と同一の要素と考えたりもするのですが、それについてはまた今度。
2.「個性」という要素
一つ目の要素は、非常に「狙った」ものです。「キャラクター人気」というやつです。
魅力的な主人公や、その活躍の爽快感によって見る人をひきつけます。
現在の和製ライト・ファンタジー/SFノベルやアニメは例外を除いてほとんどこれに含まれます。
主人公は天才的能力を持ち一匹狼かそれに近い状態で、自分の才能に振り回されたりそれに悩んだり、それが謎や物語のキーになっていたりします。それに異性のキャラがからんだラブコメの体裁を取ることも多く、放浪者として描かれますがその世界には大して「奥行き」がありません。(*3
これにイラストが花を添えます。
これらは実は商業的に計算されている場合がほとんどです。
ノベルなら新人賞などでトップだった作品に人気イラストレーター、あるいはこちらもイラスト部門のトップの人などを組み合わせ、雑誌とタイアップし、アニメ、ゲーム、キャラクターグッズなどの展開を行います。
アニメの場合はもっと顕著で、中高生向けであれば異性の好みのタイプ(意外と分類すると少ない。この問題もそのうちに。)を取り揃え、ノベルと同様に商品展開を行うことでその人気を引き出していきます。(*4
このような展開の中で作られるキャラクターの性格は、それぞれを引き立てるために自然に偏りができ、それが「個性」となります。これが「飽きられない」うちはその物語は常に主人公の能力より若干強力な敵が現れることで「継続」されていきます。
ほとんどの場合、このよう物語の中には「物語の内がわで生きる」で書いたような世界のリアリティーはあまり掘り下げられず、初期の世界設定と著しく整合性を欠く物語世界へ変貌してしまうこともしばしばです。(*5
この手法が作品の「継続の要素」である場合、主人公を含めた既存登場人物に対して、敵とともに見方にもそれまでに採用していない「個性」を持った新規登場人物を投入するか(*4、主人公の交代を行うことで継続を図ることが良く見られます(*6。
そして新規な「個性」のネタが切れたところで、物語は大円団を迎えて終わることになります。
この大円団までの長さは、ノベルやコミックなら20冊前後(*7、TVアニメでは50話前後が平均といえるでしょう。(*8
そして残念ながら、事項で述べるもう一つの「継続の要素」による作品に比べると、この継続力は著しく低いというのは、例にあげた作品からもお分かりでしょう。
「3.舞台の継承」で例に挙がる作品は、軒並み20年以上継続している作品ばかりとなります。
(*1 「サザエさん」「ドラえもん」「ちびまるこちゃん」/「ピーナッツ」
(*2 「桃太郎」「一寸法師」/「グリム童話」「千夜一夜物語」
(*3 「スレイヤーズ」「魔術師オーフェン」「ラグナロク」
(*4 「セーラームーン」「天地無用」「らぶひな」「さくら大戦」
(*5 「バスタード」
(*6 「ドラゴンボール」(補足:ただし完全には成功していない
(*7 とくに少年誌のコミックは18巻前後完結が多い。
(*8 1990年代前半まではアニメも年間放送が普通だった。だが90年代後半に入ってからほとんどが3ヶ月で終わってしまう。これは不況の影響でドラマやバラエティでも変わりなく、クールごと(←三ヶ月が一単位の業界用語)の番組の査定があまりにも厳しいためかもしれない。
当然、原作付きは三ヶ月では消化しきれないものが多く、逆に人気作は継続となった場合には内容の消化が早すぎて原作に追いついてしまうのを防ぐため、オリジナルエピソードを作ったりする。(ドラマなどは全然べつの話になっていたりする)
時間的余裕の有/無は当然作品の「デキ」に関わると考えるが、長くなるのでまた機会があった時に。
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