(順不同:成績順ではありません!)
2007・10月俳句
すすきゆれ水平線に夕日落つ 尚恭
木洩れ日の白神山道秋浅し 武久
蓑虫や大きく見えし貌ひとつ 輝久
見下ろせば刈田となりし棚田かな あした満月
寺町に残る昭和や花ダチュラ 余人
基地近しヘリ巻積雲の下を行く 登志子
霧晴れてひそかな湖の紺深く 永俊
どんぐりを独楽に仕立てる親子かな 蛇頭家
運動会明日も延期か雨の月 小三元
ピアス揺れ人それぞれの更衣 充意
トロ箱に切つ先揃ふ秋刀魚かな 美樹
アドベンチャークルーズ始めの鯰かな 由美子
おしろいの花に自転車来てとまる 美沙子
海見ゆる丘にたたずみ秋の風 葉子
2007・9月俳句
尾根沿ひの風車ゆったり鰯雲 充意
秋蝶を追ふ幼子の一心に 輝久
さてさてと太き秋刀魚と日本酒と 武久
朝の陽が秋を知らせて斜めさす 尚恭
秋刀魚焼く老調理士の背筋かな 小三元
黍畑道まっすぐに海の青 あした満月
蝉しぐれひねもす浴びて湯治宿 永俊
ふるさとに子を連れ墓を洗ひけり 香織
台風にみな急かされてゐる家路 蛇頭家
ひとりづつ子が起きてくる夏休み 美樹
シーサーの喘いでいたる残暑かな 由美子
カンバスに絵筆の走り秋高し 美沙子
亡き人の面影空に良夜かな 葉子
2007・8月俳句
里山に子らの歓声甲虫 あした満月
木槿咲く墓地に江戸あり明治あり 余人
蜘蛛の囲にからめとられて朝の庭 輝久
炎天を過ぎて医院にたどり着き 武久
子供らの歓声響く海の家 尚恭
蛍火を追ふ目の闇に慣れながら 永俊
さめ泳ぐ沖縄美ら海炎暑の日 充意
建立の地祭り迎え梅雨あがる 小三元
電線に音符並べる燕の子 蛇頭家
鈴の音させて小さな浴衣の子 美樹
夕凪や小さき鉢置く厨窓 由美子
遠雷や本のはみ出す旅鞄 美沙子
船笛の流れて港町の夏 葉子
2007・7月俳句
紫陽花や登山電車の窓に触れ 充意
信濃川曲り曲りて青田風 余人
ふるさとに吾子を抱きて蛍の夜 香織
露帯びるあじさいの藍にうれひあり 尚恭
紫陽花を分け入る様にろーかる線 登志子
病室にひまはり一輪妻を待つ あした満月
夏の雨濡れるも良しと傘ささず 武久
新婚の記念撮影梅雨晴間 蛇頭家
ひと鉢の鬼灯提げて休み茶屋 永俊
凛として山夕焼の母校かな 小三元
青柿の転べる野外音楽堂 由美子
苑深く来て睡蓮はモネの花 美樹
絵本より音が鳴り出す巴里祭 美沙子
2007・6月俳句
紫陽花や狭庭大きく膨れけり 輝久
千枚田千の風来て光りけり 登志子
湧水のありがたきかな夏の山 武久
五分咲きも盛りも並ぶ皐月展 余人
夜明け待つ不眠の夜や夏ふとん あした満月
言い過ぎを反省したる端居かな 小三元
うぐいすが声高々と朗々と 尚恭
白鷺やふわり飛び立つ渡月橋 充意
若竹の雨にけむりて明り漏れ 永俊
口ずさむ蜜柑の花に深呼吸 蛇頭家
蓮の花見にゆく始発電車かな 由美子
駄菓子屋の間口半間夏つばめ 美樹
金魚田のひとつひとつに空のあり 美沙子
紫陽花や町を流るる小運河 葉子
2007・5月俳句
夏潮のふくれ鴎を押し上ぐる 永俊
地方紙を転がり出たる筍よ 余人
たんぽぽの顔だけのぞく石畳 登志子
春惜しむ古き和菓子屋閉づといふ 輝久
真上より声のみ聞こゆ雲雀かな 武久
母の日へをさなごの描くラブレター あした満月
旅立ちの春の番が粛々と 尚恭
風光る友達の友宇宙人 小三元
枝ぶりも乱れ空家の躑躅かな 蛇頭家
特別にやんちゃを許すこどもの日 香織
拡がりし波紋の中の残り鴨 充意
馬車道に楽隊通る若葉風 美沙子
新緑や古民家に噴く釜の飯 美樹
六本木ヒルズ灯点もる穀雨かな 由美子
渓流に子の声ひびく若葉かな 葉子
2007・4月俳句
花越しに五重の塔の九輪かな 余人
山寺に読経のひびき梅かほる あした満月
過ぎし日の思ひを胸に青き踏む 輝久
「立春」と護符の貼られし大扉 永俊
爛漫の桜の下で子等の声 尚恭
満開の桜観る人描く人 蛇頭家
蹲ひに落ちては消ゆる春の雪 登志子
初雪の今頃降りしゴルフかな 小三元
端整な顔欠けてをり古雛 充意
渋滞の先に桜の名所あり 武久
幼子と屈んで覗く蝌蚪の池 香織
朝霞凪の沖より船帰る 美樹
リバイバル映画見終はり日永し 由美子
はうれん草茹でてショパンのピアノ曲 美沙子
大試験校舎一切音を断ち 葉子
2007・3月俳句
行く雁の点となるまで見つめをり 輝久
鶯の声を合図か雨上る 武久
白梅と紅梅を抜け青い空 小三元
咲き競ふ河津桜に人の群 尚恭
日差浴び岩にぶつかる流し雛 充意
辛口の朱のなつかしや達朗忌 蛇頭家
梅咲くやおにぎり持って公園へ 香織
桜もち草もちもあり誕生日 あした満月
石庭を囲む白壁辛夷咲く 余人
桜もち母と訪ねし長命寺 永俊
島へ来て島を見てゐる風邪心地 由美子
海見ゆるバレエ教室花ミモザ 美沙子
ふきのたう少し汚れし靴の先 美樹
夫の忌の近しと思ふ柳の芽 葉子
2007・2月俳句
曙やうすむらさきの枯木立 蛇頭家
幼子の手いっぱいの節句豆 あした満月
潮風も含みて香る野水仙 登志子
小さき手で見つけたつぼみ冬の梅 香織
せりなずな後は忘れし粥を食べ 充意
佗助は丸ごと落ちて白き顔 武久
寒紅梅ふと立ち止まり顔寄せる 尚恭
連絡の便待つ間の日向ぼこ 永俊
梅の香にふと目を上げる散歩かな 余人
春を待つ母子と赤きランドセル 小三元
町営の港食堂うるめ焼く 由美子
立春大吉波ゆるやかに海の紺 美樹
春眠し音まばらなるオルゴール 美沙子
滑走路飛び立つ一機春の空 葉子
2007・1月俳句
凍雲を切り裂いて行く一番機 蛇頭家
幼子を並べ正月写真撮り 武久
読初や世阿弥初心のこころざし 輝久
お年玉もらう時の子等の顔 尚恭
陶工の指赤く染め初仕事 永俊
凛として一輪だけの寒椿 充意
鏡餅置かれてインド料理店 小三元
冬の朝りんごの頬の園児たち 香織
参拝の列に歓声年変わる 余人
梅一輪ほどけて今朝の澄みし空 登志子
破魔矢買ふ長き行列福を待つ あした満月
ハンバーガー頬張ってゐる四日かな 美樹
継がれゆく女系の味や雑煮碗 由美子
人声の和音をなせる淑気かな 美沙子
帯を買ふ二十歳の春のときめきて 葉子
2006年12月俳句
蔓引けばほろほろ零余子まろび散る 登志子
東京に空の青さの師走かな 余人
金木犀かすかににほふ路地の奥 尚恭
寒空に両手を上げて土手滑り 香織
生垣にイルミネーション冬初め 小三元
数へ日や子等それぞれに心持ち 充意
蜜柑山そのまた上の白き雲 蛇頭家
軒下に楽しみこめて吊し柿 喜孝
微熱あり薄き光や冬障子 輝久
風寒し一人歩きの熊本城 武久
リバークルーズマングローブは蝉時雨 あした満月
冬の星入江の空に響きあふ 由美子
富士山に赤き星出てクリスマス 美沙子
路地抜けて聖樹煌く街に出づ 美樹
かさかさと風に追はるる落葉かな 葉子
2006年11月俳句
紅葉狩森の香りを吸ひ込みぬ 充意
沿線の柿みな熟れし通勤車 余人
渋滞を優雅に横切る赤とんぼ 香織
校歌鳴る神宮外苑秋深し 小三元
冬の空飛行機雲の行く先は 武久
柿を剥く手にずっしりと朝の卓 あした満月
大海原コスモスゆれる白灯台 尚恭
さび蟷螂二丁の鎌を重たげに 輝久
月明かり浴びて微かな萩の白 蛇頭家
竹薮の木洩れ日ゆらす秋の風 登志子
秋晴に平和を祈る日章旗 喜孝
真っ白なジグゾーパズル冬に入る 美樹
露の夜や馬場に流れてファンファーレ 由美子
落葉掃く時計の針のひとまはり 美沙子
鈴の鳴る帯胸高に七五三 葉子
2006年10月俳句
紅葉狩まだかまだかと山奥へ 尚恭
登りきて林檎ひとつの褒美かな 余人
公園にどんぐりころころ子も転ぶ 香織
酒温め亡き人とあり夕べかな 武久
木洩れ日の枝葉を揺らす小鳥かな 蛇頭家
月光を乱してそよぐ芒原 登志子
栗むいていつしか歌ふわらべうた 喜孝
砂けむり巻上げ子らの運動会 小三元
平原に乾草の山冬近し あした満月
秋収め笑顔はじけし夫婦かな 充意
秋茜駅舎の内を通りぬく 輝久
牛乳屋に立ち飲みの子ら天高し 美樹
雨粒の大河となりし芒かな 美沙子
朝寒や犬が顔だす厨口 由美子
秋時雨五百羅漢の泣き顔に 葉子
2006年9月の俳句
瀬をはさみ互ひ違ひに鮎の竿 余人
秋の暮雨戸を閉める音響く 武久
喜雨ありて頁繰る手も軽やかに 喜孝
軒下にぶうらりぶらり大糸瓜 蛇頭家
鰯雲階段ひとつ踏み外す 輝久
ベランダに蝉の転がりさびしかり 香織
少年野球去りて校庭蝉しぐれ あした満月
鳥の声霧の中なる浅間かな 小三元
竹薮の木洩れ日ゆらす秋の風 登志子
稲刈りや前に前にと気がはやり 充意
夏雲やその先はるか太平洋 尚恭
漆器屋に灯の入り初めし虫の夜 由美子
ひと刷きの雲八月の終はりけり 美樹
回送バス通り過ぎたる残暑かな 美沙子
子の飛ばす模型飛行機秋の空 葉子
2006年8月の俳句
噴水のしぶきとともに子も跳ねる 香織
三つ巴飛びかふ蝶や夏の朝 輝久
少年の日思ひ出したる入道雲 尚恭
公園に懐かしき顔夏祭 武久
緑陰や名曲喫茶の佇まひ 小三元
朝顔の行方なほして木戸開けぬ 喜孝
音だけの花火となりしビル谷間 充意
ビオトープ蛙一匹見つけたし あした満月
深煎りのコーヒーうまし夏木立 登志子
子の作るサラダの胡瓜ごろごろと 美樹
庭ぢゆうに雨降る音の涼しかり 由美子
切株に坐して人待つ蝉時雨 美沙子
山の端に見えて音無き遠花火 葉子
2006年7月俳句
梅雨の朝傘一列に通学路 武久
生きてゐる音に包まれ夏野往く 余人
桑の実の熟れて指先濃紫 登志子
露帯びてあぢさゐの花あでやかに 尚恭
バス止める知床峠夏の鹿 充意
しとど濡れ川面の蛍追ひかけて 喜孝
初桃を開ければ産毛の柔らかく あした満月
でこぼこの旧道脇の合歓の花 蛇頭家
朝に咲き夕べに散りし沙羅の花 小三元
雲早し泰山木の花の空 美樹
八方に水の音あり花菖蒲 由美子
黒揚羽野点の席に来てをりぬ 美沙子
暮れてまだ灯さぬ部屋や水中花 葉子
2006年6月の俳句
草をはむ牛の背に舞ふ白揚羽 喜孝
疎開地の名残をとどむ植田かな 小三元
水割の氷も解けてまどろみぬ あした満月
風薫り記念碑の祝ひ粛々と 尚恭
巣作りやぬかる田に佇つつばくらめ 蛇頭家
右回る水族館の鯵の群れ 充意
高原の宿は緑雨の中にあり 武久
留袖も共に褪せたり猫柳 登志子
雲海に浮かぶ会津の山真白 余人
旅の身を映してをりし植田かな 美樹
雷鳴や最上階の会議室 由美子
夕焼や橋重なれる神田川 美沙子
小児科の待合室の金魚鉢 葉子
2006年5月の俳句
石垣に沿ひて風往く松の芯 余人
墨の濃き名札つけたる入学児 蛇頭家
葉桜や華やかなりし宴のあと 武久
岩々に腰をかがめて磯菜摘む 尚恭
花びらの水面に落ちて小波舞ひ 喜孝
五星紅旗はためくマロニエ若葉かな あした満月
水湛へ田植え待つ間の棚田かな 充意
何事もなく日の暮るる夕桜 登志子
初夏や孫と競ひし竹とんぼ 小三元
苦力の引く荷ふらつく日の盛り 由美子
寄せながら引いてゆく潮あさり掘り 美樹
風よりも光の走る植田かな 美沙子
航海の平安祈る朧かな 葉子
2006年4月の俳句
湖に静けさ残る鳥曇 蛇頭家
古本に花びらの散る昼下がり あした満月
昨日より今日より明日桜咲く 武久
花朧遺作の二百句偲ぶ宵 登志子
音もなく桜並木を友逝けり 小三元
奥嵯峨や地図見て歩き花疲れ 充意
蔵々に栄華を思ふ春の旅 尚恭
卒業の三三五五の晴れ衣 喜孝
川に沿ふ桜並木の行き止まり 余人
見晴らしのよき墓なりし帰る雁 由美子
道問へば桃畑より応へらる 美樹
旧街道辿れば春の海展け 美沙子
新入社員らしき一団紺スーツ 葉子
2006年3月の俳句
白子干す浜や風力発電所 余人
春光に輝きを増す甍かな 蛇頭家
菜の花の香りほのかにほゝをなで 喜孝
瓦から顔覗かせる雀の子 武久
ビル谷間神降り賜ふ牛祭 小三元
病室ですることもなし春の雨 あした満月
賑やかに枯葉啄ばむ雀達 充意
若者の高声早口春一番 登志子
春の海島と島とに波頭 尚恭
家系図の議員宰相梅香る 由美子
春の夢枕辺に本開きかけ 美樹
標的へ一直線の春の鳶 美沙子
水温む棚田の畦の九十九折 葉子
2006年2月の俳句
霜柱音確かめて一歩づつ 充意
通学路残雪選び歩く子ら 武久
節分や泣く子をあやす赤い鬼 蛇頭家
発電の炎流るる雪催 余人
福は内昨夜の跡がここそこに 喜孝
風荒ぶ焼討のごと磯どんど 小三元
春節の爆竹の音赤い夜 あした満月
はぜる火や闇に花咲くどんどの火 登志子
寒鯉の沈みし水の濃かりけり 由美子
水仙や船少しづつ遠ざかる 美沙子
探梅や日に数本のバスを待ち 美樹
夫と来し道を行きけり枯木立 葉子
2006年1月の俳句1
外堀の水ゆたかなる三日かな 余人
晴れ晴れと孫の笑顔や初日の出 尚恭
改まることも無きまま去年今年 蛇頭家
何事も無きがごとくに大晦日 武久
裏町のビーフシチューや福達磨 小三元
オフィスより丹沢の山初景色 充意
湯けむりに体をひたし除夜の鐘 喜孝
裸木に寒月高く音もなし 登志子
除夜の鐘遠くに聞きて爪を切る あした満月
エメラルド婚小さき聖樹を灯しけり 由美子
初富士を夕日の中に見てゐたる 美樹
桟橋の先に富士ある初景色 美沙子
晦日蕎麦食べる家族の揃ひけり 葉子
十二月の俳句
冬の鳥流れのままに飛びもせず 武久
蔵に住む暮しありけり木守柿 余人
未だ目の開かぬ仔犬や冬の朝 蛇頭家
冬めきてニューグランドのカフェテラス 充意
紅と黄の織りなす歩道酉の市 喜孝
菊舞台黄泉路が待つとつゆしらず 尚恭
暮早し稜線赤く縁取られ 小三元
色極め薄暮の中の大銀杏 登志子
おにぎりの海苔の香りや冬の朝 あした満月
冬ぬくし泥んこの子の手足かな 由美子
野葡萄を引けば大きく波の音 美沙子
紅葉山リフトに垂れて親子の足 美樹
一羽とび立てばみな飛ぶ寒雀 葉子
十一月の俳句
新酒酌む娘二十歳となりにけり 余人
点々と画帳に赤くななかまど 武久
連子窓染めつつ沈む秋夕日 登志子
遠浅間そびえて見ゆる紅葉晴 喜孝
石蕗の花垣の隙間に艶めきて 蛇頭家
夕日落ち海猫帰る波高し 充意
黄葉の裾野の長し八ヶ岳 小三元
水割の氷も解ける夜長かな あした満月
身にまとふショールに藍の匂ひけり 由美子
はぜの実の揺れて畳の礼拝堂 美沙子
満開といふまばらなる冬桜 美樹
風出でて運動会の万国旗 葉子
十月の俳句
天高しペタンクゲームに興じけり 蛇頭家
彼岸花読経の中でゆらゆらと 尚恭
運動会走るわが子はレンズ越し 武久
秋刀魚焼く夕餉の香り路地に這ひ 義孝
天高しアストロノーツどのあたり あした満月
信濃路や皆つながって赤とんぼ 登志子
火渡りや灰巻き上げし秋の寺 充意
満月や埠頭埋めしコンテナー 小三元
鬼やんま草の匂ひの水に沿ふ 由美子
月の夜の黒鍵ばかりのピアノ曲 美樹
橋の上に通学の子と赤とんぼ 美沙子
忙しきひと日の暮れてとろろ汁 葉子
赤とんぼ古びし靴の転校生 玄米茶
赤とんぼ群れゐて野外礼拝堂 ぴかちゅう
赤とんぼ湧くおもひでは切れぎれに 棒茶
藤村も臨みし河原赤とんぼ シフォン
赤とんぼ群れゐる果ての木の駅舎 薔薇茶
赤とんぼ河原に丸き石いくつ 紅茶
九月の俳句
赤とんぼ払ひてもなほ赤とんぼ 充意
山野辺の道にオクラの採り忘れ 余人
かけごえが楽しく重く御輿行く 尚恭
遠くより祭囃子や月明り あした満月
酔芙蓉おわらの邑にひそと咲き 喜孝
蒲の穂に身の丈寄せて見上げけり 蛇頭家
夏夕河口たちまち潮満ち来 小三元
秋暑し幼子と行くアスファルト 武久
焼茄子や削り節の身をよじり 登志子
台風まだ遠くにありて菜を刻む 美樹
よく走る子を預かりし残暑かな 由美子
帆船の秋のひかりに反転す 美沙子
到来の葡萄の房を仏前に 葉子
八月の俳句
夏の夕ネクタイ緩め帰宅せり あした満月
野薊や湿原乾きゆく気配 余人
うたた寝を独り首ふり扇風機 喜孝
朝涼や虚空を突いて杉木立 小三元
山荘へ登りし道に紫陽花が 充意
蔵元の薄暗き土間古酒を飲み 武久
下田港夏霧むせぶ汽笛かな 尚恭
留守の間は桶に沈める釣忍 登志子
花の中そっと覗くや蟻の園 蛇頭家
秋の蚊の郵便受けを出で来る 由美子
鈍行を乗継いで行く夏の海 美沙子
空港に潮の香強き帰省かな 美樹
夏川や瀬音にまじる子等の声 葉子
七月の俳句
白鷺の時に首上ぐ青田かな 余人
梅雨の靄山の緑を掬ひけり 蛇頭家
蓮の葉に光をこぼす玉の露 登志子
露おびてあじさいの花さびしげに 尚恭
夏の雨飛石叩き跳ねかへり 武久
雨上がり背伸びしてゐる蚯蚓かな 充意
誘はれて夜店をめぐりかき氷 喜孝
遠富士や縺れて対の夏の蝶 小三元
蛍火の消えて川面の闇深く あした満月
一日を終はり畳を恋ふ素足 美樹
手の中の蛍を風へ放ちけり 由美子
梅雨晴の銀座マロニエ通りかな 美沙子
紫陽花や傘さすほどの雨でなく 葉子
六月の俳句
新緑を胸いっぱいにログハウス 小三元
篝火の川面に揺らぐ薪能 登志子
花菖蒲漫ろ歩きのひとへ向く 蛇頭家
蕎麦談義山菜談義で明け易き あした満月
鎌倉は暑さ半ばの中にあり 武久
空豆をむく手に香る夕じたく 喜孝
植ゑし田の出来映え語る父子かな 充意
青梅のこぼれて香るをんな坂 余人
しゃくなげにかこまれたるや奥の院 尚恭
お七夜のことに大粒さくらんぼ 由美子
子燕を見上ぐる子らも口開いて 美樹
青葉風両手に余る登山地図 美沙子
まだ馴れぬひとりの暮し明け易き 葉子
五月の俳句
つはぶきの葉裏に抜ける五月光 蛇頭家
ビール干す未だ明るき日暮れかな 武久
ドアノブの天道虫や何処より 充意
山藤や村の夕暮れ何か鳴く 余人
河鹿鳴く沢に沿ひたる遊歩道 小三元
目を閉じて桜散る音聞きにけり あした満月
山々に大海原に春霞 尚恭
風雨去り川面を染めて花の宴 喜孝
ジャングルジムの天辺にゐて花の中 由美子
春眠しうすももいろの薄荷飴 美沙子
おつかひの子が風船を持ち帰る 美樹
葉桜となり逝きし日の遠ざかる 葉子
四月の俳句
川風にもつれし枝垂桜かな 余人
一年生母ふり返りふり返り 武久
菜の花に埋もれて子らのVサイン 小三元
草木萌え栄華の跡の古城群 喜孝
雪残るアールヌーボー硝子館 充意
あひたくも何れ冥土の花の頃 蛇頭家
師と思ふ散り逝く友の花待たず 登志子
天命を遂げて清しく桜散る あした満月
亡き人の声聞くごとし春の星 由美子
亡き人へ春満月の高くあれ 美沙子
父逝くやさくらの咲くを待たずして 美樹
夫の名を呼びて虚しき朧かな 葉子
三月の俳句
雨音のいつしか消えて雪景色 喜孝
雪晴れに初めてみるや孫の顔 尚恭
春朧ビルの高さに赤色灯 余人
宮参り境内埋めし春の雪 充意
風を呼ぶチベット民謡四方の春 小三元
庭先に蕗のたう在り五つ六つ 武久
雪の果て三たび四たびもある今年 蛇頭家
白き幹白さ増したる冬紅葉 登志子
膳かこむ皿いっぱいの桜餅 あした満月
若布干す傍らに子を遊ばせて 美樹
来客の数のスリッパ桃の花 由美子
のどけしや軒に魚を干し並べ 美沙子
ショパン弾くピアノの上の内裏雛 葉子
バレー部の補欠たりしが卒業す 達朗
二月の俳句
梅香る弓道場に的三つ 余人
本堂のあかり框の年の豆 蛇頭家
早咲きの色濃き桜川面ゆれ 登志子
初夢は高嶺の富士と願ひかけ 喜孝
青空に白雪纏ふ富士の山 尚恭
厨房の明りの中に河豚跳ねる あした満月
除夜の鐘ビルの明りの消えぬまま 充意
この辺り梅の蕾も膨らみて 武久
相輪の金色眩し初詣 小三元
膝に乗る子犬の軽し寒日和 由美子
口数の少なくなってゆく寒さ 美樹
幼子の指先細き筆初め 美沙子
目薬の一滴しみる余寒かな 葉子
寒林に来て何処からか人の声 達朗
一月の俳句
拍子木の露地にこだまし歳の暮 喜孝
初雀日差しの中に羽拡げ 蛇頭家
コンビニの灯り今年も暮れゆけり 余人
初春の日差し背にして子ら来る 武久
初市や大人も食べる砂糖菓子 あした満月
公園の一隅照らす水仙花 小三元
雪に暮れ穏やかに明く希望の年 登志子
初風や房総からの富士の山 充意
一筋の飛行機雲の恵方へと 美樹
新しき頁の匂ひ寒に入る 由美子
買初めの袋に覗くフランスパン 美沙子
ジャスミンの香りの中の初湯かな 葉子
釣船の引き揚げられて浦の冬 達朗
十二月の俳句
収穫の夕日色増す蜜柑山 登志子
菊香り喜びの顔初孫に 尚恭
犬と子の走る渚に秋没日 小三元
武蔵野の落葉を照らす朝日かな 充意
亡き人を集ひて語るぬくめ酒 喜孝
若き日の傷の痛みや冬近し 余人
侘助の白きが浮かぶ日暮れかな 武久
日の落ちて身に沁み透る寒さかな 蛇頭家
冬星座北斗七星捜しをり あした満月
金色の鯉の背にあり冬紅葉 よはな
小春日やみどり子にまだ使はぬ手 美樹
立冬の敷居に折れる己が影 由美子
大根畑にはかに海の昏れてきし 美沙子
ショーウインドウのトナカイ跳ねて十二月 葉子
白足袋の乙女は弓を引き絞り 達朗
十一月の俳句
冬近しプラネタリウムの銀の屋根 余人
落人の里の夕焼柿赤し あした満月
影絵めく天城連峰秋夕焼 小三元
夕闇に明りのごとく吊柿 よはな
久方の見目に冬めく富士の山 蛇頭家
読みかけの本閉じ目閉じ長き夜 充意
ハローウイン三角目鼻のミニかぼちゃ 登志子
夕映えの障子に映し吊柿 喜孝
ワイパーに紅葉一葉を持ち帰り 武久
落葉道小さな犬に服着せて 美樹
泡立ち草群れて明るき駐車場 由美子
旧仮名のメールの届く台風裡 美沙子
水少し足す新米の水加減 葉子
同点のゴールの決まり天高し 達朗
十月の俳句
造成地に一本燃ゆる曼珠沙華 登志子
山あひに紅点々とななかまど 武久
秋空の像の前にて涙あり 尚恭
秋霖の山野静々暮れわたる 蛇頭家
機織の音なき町や蔦紅葉 よはな
季語選び秋の夜長をまよひつつ 喜孝
音もなくただ秋霖の日暮れかな あした満月
園児らの行進凛と運動会 小三元
結界となりし背高泡立草 余人
近寄れば思ひがけなき兜虫 充意
園長室にハロウインの大かぼちゃ 美樹
街の灯の色濃くなりぬ虫時雨 由美子
吾亦紅みんな見知らぬ人ばかり 美沙子
裏山の草深くして昼の虫 葉子
秋麗や峠越え行く路線バス 達朗
九月の俳句
コスモスや塀のみ残る里の家 よはな
夏祭太鼓とせみの多重奏 尚恭
朝顔に目覚めせかされ水遣りぬ 喜孝
繰返し誰を呼ぶやら法師蝉 蛇頭家
山小屋や一期一会の夏惜しむ 充意
子供等のカウントダウン花火の夜 登志子
噴水に子等の歓声水しぶき あした満月
徐行して祭囃子を横に見て 武久
月浴びて波のうねりのせまり来る 小三元
水遊び一人混じりし男の子 由美子
団扇背に権現太鼓鳴る方へ 美沙子
子の靴の少し大きめばった跳ぶ 美樹
持ち重りして一房の葡萄かな 葉子
銀色の爪をかざして盆踊 達朗
八月の俳句
浅き息つくほかなくて油照り 余人
小さき子と共に踊りの輪を広げ 蛇頭家
風鈴の音を集めて無人駅 小三元
日の落ちしオープンカフェ生ビール 充意
歳を経し安堵に満ちて蝉時雨 喜孝
河鹿鳴く賢治ゆかりの湯につかり あした満月
鳴き競ふ今日を限りの蝉もゐて 武久
驟雨去り木立を繋ぐ虹の橋 登志子
犬の名を葎の庭にもう呼ばず 由美子
渦巻きのストロー二本夕涼み 美沙子
明日山へ返すつもりの兜虫 美樹
線香花火こはごはと持つ幼き手 葉子
晩涼や塾へ行く子の急ぎ足 達朗
七月の俳句
てんと虫飛ぶぞ飛ぶぞと飛びあがり 武久
清流や色も優しき花菖蒲 登志子
古池や溢れんばかり古代蓮 充意
葉桜のとんねる長き古刹かな 小三元
朝顔市色とりどりに団十郎 あした満月
江ノ島や富士引き寄せる夏夕べ 蛇頭家
サングラス売り場の鏡ひとり占め 由美子
梅雨の月ぽろんと夫のピアノ鳴る 美樹
海よりの風に吹かれて早苗束 美沙子
三面鏡に映る横顔半夏生 葉子
夏至の日の昼の長さをもてあます 達朗
六月の俳句
石仏を遠巻きにして茗荷の子 蛇頭家
朝凪に行く釣舟の音はるか 武久
振り向けど姿は見えず牛蛙 充意
リアドロの少女の髪にれんげ草 あした満月
少年のバットの素振り夏来る 小三元
木洩れ日に緑やさしき旧街道 登志子
子が先に目覚めて母の昼寝かな 美樹
百合薫る堂にピエタのほの白き 美沙子
山鳩のしきりに鳴きて梅雨兆す 葉子
露座佛や梅雨湿りして庭箒 達朗
五月の俳句
田を返す牛のんびりと棚田かな 充意
葉桜に人の疎らな古寺の址 蛇頭家
掘り起こす土黒々と揚雲雀 登志子
ふつふつと筍を煮る音のして 武久
若葉風隣家の音を遮れり 小三元
戯れてやがて離れる銀やんま あした満月
船窓に遠ざかりゆく楠若葉 由美子
団欒の真ん中に置くさくらんぼ 美沙子
樫若葉空の明るき雨であり 美樹
花水木咲いて毎日通る道 葉子
木登りの好きな男の子や柏餅 達朗
四月の俳句
枝先を水面に伸ばし老桜 小三元
花の道ゆけば川面に波さわぎ よはな
病みあがり汁粥啜る花見宴 蛇頭家
囀りに雑草取りの手を止めて 武久
芽の息吹ほのかに萌す山の宿 登志子
あんぱんまんミッキーもいる雛まつり あした満月
春麗横浜山手十番館 充意
山茱萸の触れてたちまちこぼれ落つ 美樹
花冷えや幌深くして乳母車 由美子
春風やふたり乗りなるテイーカップ 美沙子
一日を吹かれ通しに雪柳 葉子
春昼や針重たげに花時計 達朗
三月の俳句
餌を待つ羽根震わせて雀の子 武久
春眠や波打ち寄せる砂の城 よはな
雨うれし蛙の声のくわくわと あした満月
常緑の大樹を宿と囀りぬ 登志子
水温むゼロより上の寒暖計 蛇頭家
感動の深夜映画で湯冷めせし 充意
春昼やカフェにかかりしエルグレコ 小三元
畑に立つ煙真直ぐ鳥帰る 由美子
浮かびこぬ言葉のひとつ春の霜 美沙子
春の夜の絵本一角獣翔べり 美樹
春昼やゆっくり溶ける角砂糖 葉子
花こぶし白き中央分離帯 達朗
二月の俳句
サッカーボール蹴上げて春のはじまりぬ あした満月
鎌倉やあはれ冬眠せざる栗鼠 とんとん
白煙のゆったり流る枯野原 登志子
しんしんと足の先まで寒の入り 充意
変らざる願ひのありて初詣 小三元
ふきのたう未だ紫の衣着て 武久
内海のひかり集めて猫柳 よはな
三ツ星の光幽かな寒の明け 蛇頭家
薄氷や斎場に聞くヴィヴァルデイ 余人
木登りの子の降りて来ず山笑ふ 美樹
寒鯉の釣上げられし逆光に 美沙子
春雨や馬房に藁の匂ひ満ち 由美子
着膨れて大師詣の凡夫婦 葉子
寒夕焼基地は金網もて囲まれ 達朗
一月の俳句
寒空や男が探すプレゼント とんとん
黒豆のうまく煮えたる御節かな 余人
山歩き臘梅の香を探しつつ あした満月
冬ぬくし久方ぶりの浜の町 武久
雪吊りを弾いてみたる指の先 よはな
そこかしこ国旗はためく初景色 小三元
ひと休み話の弾む焚火の輪 登志子
三箇日過ぎて忽ち茶漬飯 蛇頭家
墜道を抜けて房総初日の出 充意
映りゐて杭の水鳥揺れてをり 由美子
木枯や絵文字混じりの伝言板 美沙子
初春の風にはためく大漁旗 美樹
昨日会ひしばかりの友へ賀状書く 葉子
大晦日何か仕残したる心地 達朗
十二月の俳句
落葉掃く残れる木の葉見上げつつ 登志子
冬空にピン刺すごとくクレーン立つ 余人
銀杏の袋携へ友来る とんとん
夜半より降り出し止まぬ冬の雨 武久
飛び石の苔光りゐて冬の雨 よはな
古里は山また山や紅葉晴 小三元
底冷も喜々たる犬に引かれけり 蛇頭家
退職の友との酒や鮟鱇鍋 充意
仲見世は江戸の賑はひ羽子板市 あした満月
冬の日を拾って歩く切通し 美樹
冬銀河坂の途中にカフェテラス 美沙子
短日や暮れて終はらぬ庭仕事 葉子
息白く吐いて携帯電話かな 達朗
十一月の俳句
襟立てて銀杏黄葉を踏みしめる 充意
薄紅葉くぐりて巡る屋形舟 登志子
紅葉山中腹辺りが盛んなり 武久
空念仏禁酒禁煙十一月 蛇頭家
コスモスの大きく揺るる夕べかな 余人
秋の森両校校歌こだませり 小三元
新蕎麦をおやじ一途に打ちにけり あした満月
長屋門開いてをりし菊日和 美樹
サフランや白き雲浮く国境 美沙子
黄落や犬ひきて坂ゆるやかに 葉子
散策の足裏に脆き虚栗 達朗
十月の俳句
秋刀魚焼くけむりこの道ゆき止まり 余人
新聞の音に目覚めし秋の朝 小三元
秋晴や眠たくもあり文庫本 蛇頭家
名月や地にホームレス眠りをり あした満月
ローカルの鈴虫列車客一人 充意
秋の旅行程表を読み返し 武久
へちま棚くぐりて郷土資料館 美樹
午後の風誘ふ運河や蔦紅葉 由美子
鈴つけて猫の出て行く十三夜 美沙子
川端のバス停留所柳散る 葉子
大甕を並べ古民家萩の花 達朗
九月の俳句
一隅を暮れ残してや遠花火 余人
ひぐらしのこゑ間近なり坂の道 武久
朝顔の二階の窓に侍りけり 蛇頭家
反橋を渡り初秋の羅漢寺 よはな
急流に足をとられし夏の沢 充意
朝霧に磐梯山の仁王立ち 小三元
あぶらぜみ油地獄の中で鳴き あした満月
大花火きらめきマストに降り注ぐ 登志子
砂山の端より崩れ夏の雲 由美子
草を食む羊の群れや天高し 美沙子
潮騒の海まだ見えず新松子 美樹
蛇行して霧の高原道路かな 葉子
パレットの絵具の乾く残暑かな 達朗
八月の俳句
泡ひとつ口にのせたる金魚かな よはな
部屋干しのタオルの嵩や梅雨長し 余人
向日葵の向き定まらぬ花瓶かな 充意
足浮かせリフトに任せる夏の山 武久
窓開けてもうひと眠り夏鶯 登志子
幼子の手真似真剣盆踊り 小三元
逝きし父に迎火を焚く母であり 通仙
縁側に籐椅子ひとつ沙羅の花 由美子
沙羅咲いて三角屋根の時計塔 美樹
葛切や櫓太鼓のよく響き 美沙子
餡蜜や鎌倉の海すぐそこに 葉子
大西日受けゲーテ座の赤煉瓦 達朗
七月の俳句
新盆を気丈に仕切る母であり 通仙
梅雨の朝通学路行く傘の群れ 武久
梅雨晴や雉の親子の歩の疾し 小三元
括猿吊るし奈良町夏座敷 余人
青田風下り線着き発車する 登志子
北国やポプラの絮とバスを待ち よはな
灯を消してカサブランカの香りたち あした満月
トロッコや夏雲白し黒部ダム 充意
ひまはりの咲きて喪の戸の閉ざしあり 由美子
散り敷きて薔薇の花びらなほ褪せず 美沙子
噴煙や熔岩の山裾茂りたる 美樹
渋滞の尾灯の列や梅雨深し 葉子
水草や何か蠢くもののゐて 達朗
六月の俳句
優曇華や灯り少なき蔵の町 余人
渡良瀬や靄の中より巣立鳥 充意
下刈りの鎌を休めて余花の昼 通仙
緑さす佐渡の語り部母に似て よはな
春の日にゆらり茶柱立ちにけり あした満月
思い出を辿る山径走り梅雨 登志子
薫風や胡弓奏でる駅広場 小三元
漬けた日の日記見ながら梅酒飲み 武久
薔薇の香のして薔薇園のまだ見えず 美樹
夏燕硝子のビルを掠め飛ぶ 美沙子
濃むらさき薄むらさきや花菖蒲 葉子
水馬右往左往の水輪かな 達朗
五月の俳句
天と地を仕切る青嶺の屏風かな 通仙
房総の風に吹かれて鯉のぼり よはな
牡丹の色とりどりに雨雫 武久
小走りに通り過ぎにし雉一羽 充意
白樺の芽吹きてさやか青き鳥 小三元
髭を剃る鏡の中にチューリップ あした満月
半蔵門電車で花見若き日に 登志子
新緑のテラスに憩ふ絵画展 余人
ふらここにひとりの刻をたのしめり 美沙子
川音やかたくりの花踏まぬやう 由美子
行き先は子に従ひてこどもの日 美樹
行く春や茶房の椅子に深く掛け 葉子
あたたかや銀座に俳句色紙展 達朗
四月の俳句
利酒の土間の暗さや梅香る 余人
花筵その真ん中に将棋盤 通仙
春炬燵電話のベルの鳴りやまず 充意
夕間暮れ賑はふ時を待つ桜 武久
百万の梅の香れるベンチかな 小三元
花びらをよけて新聞取りに行く あした満月
春昼や島の小道に六地蔵 よはな
春愁や鍋ことことと独り言 登志子
卒業証書授与園長の大きな手 美樹
下萌や湖までの道日当たりて 由美子
残雪や戦国の世は遠くあり 美沙子
川沿ひに米屋雑貨屋柳の芽 葉子
湘南の浜風を受け若布干す 達朗
三月の俳句
鳥が来て膨らむ小枝春の昼 武久
飛行機の近寄りて行く春の星 通仙
新築の居間の明るし古代雛 よはな
白梅の青空に映ゆ崖の家 登志子
鴛鴦の水かきせはし真昼かな 充意
春一番雀の群れの隠れをり あした満月
うたた寝にたそがれて行く春の庭 余人
餌箱に小鳥の群るる春の昼 小三元
雛の間にやはらかく日の差し入りて 美樹
格子戸に日差し明るき枝垂梅 美沙子
風船を結びしベビーベッドかな 由美子
風光る運河の上をモノレール 葉子
旅鞄車に積んで水温む 達朗
二月の俳句
沈黙の日々のありけり寒牡丹 よはな
散歩道豆撒く声の聞こえけり あした満月
噴出せし間欠泉に牡丹雪 充意
冬晴れの天守の甍光りけり 余人
飛び来たり梅の蕾を見るめじろ 武久
深山に読経こだまし山始め 小三元
曙や大寒木のシルエット 登志子
納豆の糸ながく引く春の風邪 通仙
立春のけふは明るき道通る 美樹
春を待つ無人駅舎の赤き屋根 美沙子
寒玉子黄味の重きを割り落す 葉子
地球儀の海の青色日脚伸ぶ 達朗
一月の俳句
年行くや港に並ぶ漁師船 余人
去年今年両睨みなり鬼瓦 充意
街灯のまだ残りたる冬の朝 武久
冬の空見上げて森の一歩かな よはな
子等去りて三大テノール年の酒 小三元
羽子板市首を埋めし鳩の群 登志子
初旅は指でなぞりて世界地図 通仙
パジャマ着て新聞とりに霜の朝 あした満月
新年会メインロビーで待ち合はす 由美子
着ぶくれてカウントダウン待ちゐたり 美樹
着ぶくれて覗いてをりぬ海の底 美沙子
商店街抜けて裏道花八つ手 葉子
魚屋の土間を冷たき水流れ 達朗
十二月の俳句
時雨るるやテールランプの長き列 余人
釣人の小舟に揺るる冬茜 よはな
渓谷の燃えんばかりの紅葉かな 充意
冬寒やメール届かぬ里にをり あした満月
片時雨山を二つに染め分けり 仙人
踏切に長蛇の車十二月 小三元
夕しぐれ城崎の先日本海 武久
天窓に月のかかりしクリスマス 由美子
落葉踏む音の見つかるかくれんぼ 美樹
風花や灯の点りたるログハウス 美沙子
散紅葉栞に旅の日記閉づ 葉子
空風に向かひて駅伝走者かな 達朗
十一月の俳句
虚ろなるかぼちゃの面のほの灯かり 余人
からすうり蔓と蔓とにつながれて 武久
一服の紫煙を流す夜寒かな 仙人
秋嵐予報に一喜一憂し 充意
おでん買ふ列に加はる峠茶屋 よはな
昼の虫沁み入るように細く鳴き 登志子
踏切の鐘かんかんと冬近し あした満月
霧晴れて男体山の素顔かな 小三元
江ノ電を降りてまた乗る秋日和 美樹
虫の闇雨戸一枚閉め残し 由美子
秋澄むや鳥の形のみちしるべ 美沙子
江ノ電に乗る晩秋の海の色 葉子
祝の座を出て上弦の月の道 達朗
十月の俳句
赤い羽根付けて背筋を伸ばしけり 仙人
花終へし木々に真白き千人草 登志子
朝露に輝く陽射し蕎麦の花 充意
鐘の音の余韻かき消す虫の秋 よはな
赤き実は七竈らし露天の湯 余人
遥かなるワイオミングは秋の原 武久
霧迅し天下の嶮の迫り上がり 小三元
キャビアいっぱいスプーンにすくひ冷酒酌む あした満月
色鳥や缶に切手のコレクション 美沙子
横顔のやうな雲浮き赤とんぼ 由美子
月高く朱の橋の上に待ち合はす 美樹
菊日和鎌倉どこを歩かうか 葉子
萩見むと鎌倉までの切符買ふ 達朗
九月の俳句
長月や捨て猫の鳴く寺の庭 あした満月
台風の過ぎ去りし庭星光る 充意
入道雲夫の想ひ出矢作川 登志子
竹伐りの谺の走る谷間かな 仙人
街道に朝採り茄子の無人店 余人
八ヶ岳富士を遥かに月見草 小三元
秋夕焼河原にカヌー裏返し よはな
戦争を知らぬ球児の終戦日 武久
新涼や水輪に透けて魚の群 美沙子
滝を見にこの朽ち橋を渡らねば 美樹
苦瓜の曲がれるままに揺れてをり 由美子
サンダルを履いてえのころ草の道 葉子
赤とんぼテニスコートに球弾み 達郎
八月の俳句
大太鼓地を響かせて星祭 小三元
夏空や分水嶺に立ちてをり 余人
まだ誰も帰り来ぬ夜の遠花火 美樹
琴の音の止みたる路地に夏の月 よはな
静寂を破りて高き花火かな 充意
滝の音近づきつつも未だ見えず 武久
月下美人わずかに揺れて夜はふけぬ あした満月
宿浴衣どっと呑み込む大旅籠 通義
月下美人咲くや地熱の冷めしより 由美子
海の日のパレットに溶く青絵具 美沙子
高階に住む楽しさの遠花火 葉子
炎昼のミュールの細き踵かな 達朗
七月の俳句
名水や梅雨の晴間の野点かな 充意
蕎麦の花信濃の里の武家屋敷 あした満月
燕一瞬水面叩きけり 余人
岩に立つ白衣の海女や夏燕 登志子
幼子や蚊に刺されたる腕を見せ 武久
扁額に入れても見たし花菖蒲 通義
ゴルフ場芝生き生きと迎へ梅雨 小三元
浜木綿や海の近くに父祖の墓 よはな
保冷箱路地に嵩なす市場裏 美樹
八方へバッファロー消え夏の月 由美子
革靴の来て蟻の列ちりぢりに 美沙子
退院の夜や甚平を着て膳に 葉子
突堤に並ぶ釣り人麦嵐 達朗
六月の俳句
苧環や造り酒屋の土間広し 余人
首振りてカルガモ我に近づきぬ 充意
昼寝覚階下に夕餉の音のして 武久
蟻の道行き来絶えない真昼時 通義
愛犬に法被を着せて夏祭 よはな
愛しきは一期一会の沙羅の花 小三元
モーニング脱ぎ捨てしよりビール酌む あした満月
木の下に燭の揺れゐる夏料理 由美子
遠雷や忘れし頃にまたひとつ 美樹
礼服の胸に勲章風薫る 美沙子
エメラルド色の火口湖風五月 葉子
潮の香の満ちたる路地の濃紫陽花 達朗
五月の俳句
日の陰りなほ山肌に蕨採り 武久
川風に頬ふくらます五月鯉 通義
湾岸に大廈高楼風光る 余人
うららかにバスで上りし最上川 充意
藤の花バスの窓より振り返り 小三元
窓若葉句集をつめて旅仕度 あした満月
高々と上ぐ象の鼻夏近し 美樹
明日より南半球春の星 由美子
虫眼鏡春の光を一点に 美沙子
藤匂ふ夕したしき人を訪ふ 葉子
客船の白さ際立ち五月来る 達朗